イベント的な卒業式をしている学校も少なからずある中で、あえてこの伝統を守ったことにより他校では見られない成果を上げてきました。毛筆の送辞・答辞(現在も保存してあるはず)の内容や表現の質の高いこと、卒業生全員が緊張のうえにも丁寧な態度で証書を受け取ること、退場ではほとんどの卒業生が涙していることを見てもその成果がわかることでしょう。
ところで、式の音楽に趣向が凝らされていたのを気付いていましたか?入場の時はJSバッハの「主よ人の望み・・・」(その前はヘンデルの「ラールゴ」)、証書授与はJBバッハの「ブランデルブルク協奏曲」、合唱はベートーベンの「歓喜の歌」(卒業生作詞)、退場はベートーベンの「ピアノ協奏曲皇帝」でした。
これらからもわかるように、入場から証書授与までは上述の厳粛さを支えるものであり、その後は卒業の喜びを力強く表し、最後は一転して華々しく将来に向かって歩むとの構成でした。また、退場では、曲の冒頭の輝かしさを会場に響かせた後、カデンツァーの切れ目で最前列のD組の女子が一斉に起立し、在校生・父母・教師の盛大な拍手に送られて体育館を出るとの構成でした。
以上の光景を昨日のことのように記憶しているのは曲は音楽の先生と相談して決め、退場の規律は私の発案で決まったもので、少なくとも私の退職までは継続していたからかもしれません。
そういえば、あのときこうだった。今考えてみるとあのことはこう解釈できる。我が子の場合と比べるとこうだった。・・・との文を寄せてください。